11話 分かれ目
裁定の暗記、コンボの発掘練習、連戦でも集中力を落とさないスタミナをつけるための筋力トレーニング、走り込みなど激しい練習が続いた。
が、かしこにとってそれらは苦でなくむしろ新鮮なものでさらに引き込まれていった
しかし全ての1年生がそう感じているわけではなかった
1年生A:ドロッ、・・ローぐわぁっ・・・
1年生B:156、157、158・・くっ・・!なんで遊戯王部なのに筋トレする必要があるんだよっ!
すなお:・・・147、148、159(いや、あれだけリスペクトできる先輩の作るメニュー。無駄なんてないはず)
1年生B:ズルしただろ!
1年生C:くっ・・1年生の中でも実力があると言われている川下(かしこ)や真野、野村はどんどん上級生と同じメニューをやらせてもらっているのに俺たちは・・っ!センスがないのか?
リッチ:(そうだ、かしこは一番卓で部長や最古さんたち3年の先輩と決闘してるのに俺はこんなところで1年生を相手に苦戦・・?)
練習が厳しいことで諦める1年生もたしかに多かった。しかし真剣に取り組んでいるのに勝てないという"現実"。これがそれ以上に多くの1年生の心を挫いた。
今までの遊戯王にはあった本気じゃないからあいつの方が勝ってるのは仕方ないという自分をごまかす逃げ道。その場には用意されていなかったのだ。
流れの中で退部届けを出し駿東中の中では緩い囲碁将棋部やテニス部を中心とした他の部に転部する者が増え始めた。
幼馴染のかしこが上へ登っていくのに対し全く強くなる気配の見えない自分への焦りと苛立ち
リッチも辞めて行く部員のその一人になっていた。
かしこ:リッチ君なんで・・・
リッチ:お・・(お前への嫉妬に耐えられなくて・・)
かしこ:そっ・・そんな・・一緒に遊んでくれるリッチ君がいたから今まで
リッチ:最後に決闘しようぜ
かしこ:最後って・・何も遊戯王自体をやめなくても・・
リッチ:・・・・・
ーとあるスーパーの休憩所ー
駿東中のレギュラーメンバーのプレイマットを敷くかしこ。この一ヶ月の間でかしこは強者の覇気を纏うようになった。
喋り方も変わった気がする。一ヶ月二ヶ月とはそういう時間だ
リッチ:手加減はなしだ!
〜・・・
リッチ:くっ・・(本命の激流葬を・・)
店長:ゴラァ!店の休憩スペースを占領するんじゃあない
かしこ:・・引き分けで!
リッチ:いや・・(俺の負けだよ)
ー帰り道ー
かしこ:今だから言うんだけど・・
かしこ:リッチ君本命の罠を伏せるとき本命は目を閉じながら伏せる癖なおさないと〜丸わかりだよ!
リッチ:まじかよ・・。でもやっぱり強いな!また負けちまった・・でも楽しかった
かしこ:ならまだやろうよ遊戯王!
リッチ:でも俺にはやってけないんだ・・(遊戯王は好きだけどこの劣等感は好きになれない)
けどお前は才能がある。応援してるからさ・・グッ・・・
走り去っていった
リッチ:(小さい奴なんだな俺は・・)
すぐれ:残念さ。でも部活をやめたからってリッチ君が友達じゃなくなるわけじゃあない
かしこ:そうですね・・リッチ君はリッチ君。(一体いつから見てたんだろう・・)
リッチ君はいつかまた思い直して戻って来てくれるはず。わたしは待っていたい
つづく