カッ!
「グッ...クゥウ...」
毎朝のことだ。またあの頃の傷が疼く。・・いや、本当に痛みを感じているわけではない。ただ心に刻まれ消えないその闇を忘れられないだけだ。
そう、この俺、安火子幽は9年前に起きた世界的大災害、‐ 紅の七夜 -後奇跡的に生き残った・・・というより生き残らされてしまった新時代人類、‐ 残されし者 -の一人。
あのとき壊れ、失ってしまった物から飛び散った 破片 が今でも俺の・・この安火子幽の心を引き裂いている。
「だが・・」
この俺、安火子幽には使命がある。 ‐決闘 ‐ が全てを決めるこの間違った世界で奴らと戦わねばならない。
この世界を支配する 仕組み 、‐3人の英雄王 ‐そして ‐真皇帝 ‐ と・・・。
・・・
昔、この俺、安火子幽を含む俺たち‐ 残されし者 -はいくらかの派閥を組み、限られた資源と、そして手にすれば人の身では見れぬ景色を見ることができるという、この世界に隠されているはずの秘密、 ‐大いなる闇の記憶 ‐ を求め戦いを繰り返していた。戦いが進むと世界は大きな力を持つ9つの勢力に分かれ争うようになり、それぞれに絶対的な王が君臨するようになった。
そして、その9人の王を人々は恐れ敬いこう呼んでいた。 ‐9人の英雄王 ‐と…。
俺、安火子幽は昔その一人だった。
つづく